建物の外壁に汚れはつきものです。風雨による汚れや経年劣化のほかに、カビやコケが生えることもありますよね。まだ新築してそれ程たっていないのに、という場合でもなぜかカビやコケが生えてしまう場合もあります。
湿気の多い場所だからしょうがない、と放置すると大変なことになるかもしれません。カビやコケが繁殖してしまうと建物の美観を損ねるだけでなく、アレルギーや喘息などの健康被害にもつながってしまうのです。
今回は外壁のカビやコケについて、生えてしまう原因を明らかにするとともに自分でできる対策や予防などの方法を解説しました。
目次
外壁のカビやコケをキレイに取り除くには?
まず、カビとコケは同じように見えますが別の生物です。コケは葉緑素を持った植物ですが、カビは菌類です。つまりコケの生育には光合成のために適度な日光が必要ですが、カビは日光がなくても生育できます。
そのため、カビが繁殖すると日光の当たらない外壁内部や塗膜まで広がってしまいます。そうならないためにも、早い段階での処置が必要なのです。カビやコケは、まだ表面に付いたばかりなら自分で取り除くことが可能です。キレイに取り除くための方法をご紹介します。
自分で取り除く場合
いったん生えてしまったカビやコケの除去には、薄めた漂白剤を使います。漂白剤は種類によって外壁を傷める可能性もあるので中性タイプが無難です。
まずはカビやコケの生えている外壁に、水を掛けて泥やホコリなどの汚れを落としましょう。その後、水で薄めた漂白剤をカビやコケにジョウロなどでかけます。狭い範囲であれば霧吹きで吹きかけたり、キッチンペーパーなどで湿布するのも効果的です。
漂白剤をかけたら、表面が乾燥しないうちに柔らかめのブラシかスポンジで擦ります。その際、外壁の素材を傷めないように擦り過ぎに注意しましょう。擦り取ったカビやコケは水で洗い流します。ジョウロやホースで水をかけるか、高圧洗浄機などで薬剤も胞子もしっかりと落としましょう。
簡単な作業ですが広範囲になると大変な労力になります。できるだけ、カビやコケが広範囲に広がらないうちにやってしまいましょう。
作業時は、漂白剤が皮膚についたり目に入ったりしないように注意しましょう。必ずゴム手袋などを着用し、高い位置をこするときは特に注意してください。また、道路や隣家に面した外壁では、思わぬトラブルにならないよう周囲の状況にも配慮が必要です。
業者に依頼する場合
外壁全体にカビやコケが生えている場合、作業効率や仕上がりを考えると業者へ依頼するのがおすすめです。また、ひび割れや剥離があるなど外壁自体が傷んでいる場合も、そこからカビの胞子が入り込み内部で繁殖している可能性があるので、やはり業者へ依頼した方がいいでしょう。
業者による作業は、使用する薬剤がより効き目の強いものだったり、再発を防ぐような洗浄をしたり、カビが生えにくい塗装をすることもできるので高い効果が期待できます。ただし、作業の内容に応じてそれなりの費用がかかるので、あらかじめ見積りを出すようにしましょう。
外壁のカビ取り・コケ取りを業者に依頼したときの費用相場
業者に依頼する場合、費用はどの程度が相場なのでしょうか。実際には外壁の状態や素材によっても違うので、一般的な相場をご紹介します。
業者の場合、広範囲の作業には足場を設置することがあります。また近隣への影響を考慮する場合は養生にかかる費用も必要です。足場の設置は平方メートルあたり約600~800円、養生は約300~500円程度が相場となります。
高圧洗浄の後にカビやコケの発生を防ぐ薬剤を塗装する場合は、戸建て住宅1棟で約5万円程度が相場です。
外壁のカビやコケを放置するとどうなる?
外壁のカビやコケを放置すると、住宅の美観を損ねるだけではありません。住宅や、住人の健康にまで影響が出る可能性があるのです。
カビは喘息や鼻炎などのアレルギーを引き起こすアレルゲン物質として知られています。カビを放置すると、わずかな隙間から内部にまで侵入して繁殖します。
しかも、カビは自身の繁殖のために胞子を飛ばし続けるのです。すると、住人はカビの胞子をたっぷり含んだ空気の中で生活することになります。健康被害に繋がる可能性は大いにあるといえるでしょう。
また、コケは保水能力の高い植物です。コケを放置すると、外壁はコケとともに多量の水分を含むことになり、劣化を早めてしまいます。本来の耐久年数を大幅に縮め、早々に補修工事が必要になることも考えられます。
外壁にカビやコケが生えやすい条件とは?
カビやコケが生えやすい共通の条件は、十分な水分があることです。外壁は常に風雨にさらされていますが、天候以外にも水分が多くなる条件があります。
1)外壁の表面が凸凹している
ざらざらした外壁や表面に凹凸のある外壁は、雨水が溜まりやすくなります。日差しの当たり具合によって、乾燥しきれない場合もあるので、カビやコケの繁殖に適した条件となります。
2)日当たりが悪く、風通しも悪い
こうした場所では雨などで溜まった湿気がいつまでも乾燥せず、湿気の多い状態が続きます。すると、どんな外壁でもカビやコケが生えやすくなります。
3)近くに植物が多い
植物には葉から体内の水分を水蒸気として出す働きがあり、天然の加湿器と言われています。植物がたくさんあるということは当然、湿度も高いのです。
4)近くに川や湖がある
川や湖、用水や池など、家の近くにたくさんの水がある場合も湿度は高くなります。
外壁をカビやコケから守る3つの方法
外壁に水分を溜めやすい条件をあげてみましたが、外壁そのものの形状や住宅の立地条件に関係するので、どれも簡単には変えられません。では、外壁をカビやコケから守るにはどんな方法があるのでしょうか。有効な3つの方法をご紹介します。
風通しをよくする
立地条件は変えられないので、湿気が溜まらないようにできるだけ風通しを良くしておきましょう。外壁の近くに物を置いていたり、壁に立てかけていたりすると風通しが悪くなります。処分するか撤去して、できるだけ風の通りやすい、すっきりした空間を心がけましょう。
繁殖が広がらないうちに掃除する
コケは水分と適度な日光で発生しますが、カビは日光ではなくホコリや汚れが栄養源となります。外壁が汚れたら早めの掃除を心かけましょう。また、既に生えてしまった場合も早いうちであれば、漂白剤で取り除くことができます。繁殖が広がらないうちに掃除することが外壁を守ります。
カビを防ぐ塗料で塗装する
もっと積極的な対策として、カビやコケを生えにくくする塗料を塗装する、という方法があります。防カビ、防コケを目的とした塗料は多くのメーカーから販売されていますが、外壁との相性を考慮したり、広範囲にわたって満遍なく塗装するには専門の技術が必要です。信頼できる業者に相談してみましょう。
まとめ
カビやコケは自分で取り除くこともできます。しかし、広範囲での作業は労力としても大変なうえ、高所や足場の悪い所での作業など場所によっては危険も伴います。また、立地条件や外壁の素材などによっては、どんなに対策を講じてもカビやコケの好む水分が溜まってしまうため、同じことの繰り返しです。
カビやコケを放置すると外観がわるくなるだけでなく、健康被害に繋がったり、外壁の耐久年数に関わったりするので、根本からの処置が大切です。
専門の業者であれば、定期的なメンテナンスや根本的な処置とともに再発の予防まで依頼することが可能です。ただし、作業に応じて費用がかかりますので、必ず見積もりを取りましょう。その際、ご自宅がどのような状態でどんな処置が必要か、あらかじめきちんと把握しておくことも重要です。