「モルタル外壁の家に住んでいるけど、メンテナンスって自分でもできるの?」「これから家を建てる予定だけど、外壁をどう仕上げようか……」などとお悩みの人はいませんか?
モルタル外壁は、職人が手で施工していく外壁として知られています。砂の混ぜ方や塗り方によってさまざまなデザインに仕上がり、個性的ながら温かみがあることから人気の外壁です。
このコラムでは、そんなモルタル外壁について、特徴やメンテナンスの仕方のほか、モルタル外壁の劣化状況のチェック項目などをご紹介します。モルタル外壁のメンテナンスでお悩みの人も、これから家を建てるという人も、ぜひこのコラムを読んで参考にしてみてください。
目次
モルタル外壁ってどんなもの?
モルタル外壁とは、砂とセメントと水を5:2:1の割合で混ぜ合わせた素材を下地に作られた外壁のことです。モルタル外壁自体は防水性が低いので、表面に塗装を施すことで防水性をあげています。
モルタル外壁は、デザインの自由度が高く職人によって個性の出る外壁として、ひと昔前までは主流の工法でした。しかし、手間がかかることや施工できる職人の減少から、最近ではモルタルが使用されることは減ってきているようです。
種類
モルタル外壁には4種類あり、質感や模様がことなります。
- 吹き付けタイル
- リシン
- スタッコ
- 左官仕上げ
吹き付けタイルは、3つの工程をかけてモルタルを吹き付ける複層仕上げの壁です。表面はポコポコとしており、ザラメ菓子のような仕上がりになります。
リシンは、アクリル顔料塗料に砂状の骨材を混ぜて吹き付けた外壁のことで、吹き付けタイルよりも細かく、つぶつぶとした表面をしています。通気性や透湿性に優れている外壁です。
スタッコは、リシン吹き付けの3倍のモルタルを使用して施工したものです。リシンと比べて、全体的にぶつぶつした表面をしています。
人気の高いモルタル外壁として、左官仕上げのものがあります。吹き付けタイルよりも目が粗い表面に、ローラーやコテを使って模様を作ることで、独特なオシャレさを演出できます。近年でもデザイナーズマンションなどで、こういった外壁を見かけることがあるでしょう。
モルタル外壁のメリット
・燃えにくく、ガスが発生しない
モルタル外壁の材料は、セメント・水・砂なので燃えにくく、有毒なガスも発生しません。つまり、もし震災などで隣の家で火災が起こったとしても、燃え移りにくいということです。
・壊れにくい
台風など強風によって飛来してきたものが当たったとしても、簡単には破損しません。また、日本は地震が多いですが、モルタル外壁は地震によって家が傾かないようにするので、家の下敷きになる前に避難ができるでしょう。
・デザインのバリエーションが豊富
混ぜる砂や繊維などいろいろな組み合わせをおこなうことで、デザインにバリエーションがあります。
モルタル外壁のデメリット
・ひび割れを起こしやすい
モルタル外壁は、乾燥と高湿度が繰り返される環境では劣化が早く、ひび割れを起こしやすいです。また、地震や地盤沈下などによるダメージの蓄積も、ひび割れを起こす原因になってしまいます。
ひび割れを起こすと、そこから水が浸入しやすくなり、鉄骨がさびたり建物内部が腐食したりする原因にもなってしまうのです。
・表面にチョークのような粉が発生して汚れが付く
モルタル外壁は、紫外線などによって劣化していきます。そうすると、表面にチョークの粉のようなものが付くようになってくるでしょう。このような現象を「チョーキング(白亜化現象)」といい、外壁塗装が必要な時期になっている証拠です。
・雨水の汚れが付く
雨が降った跡の付いた外壁を見かけたこともあるでしょう。それは、窓や屋根などに付いている汚れが、雨水によって流されて壁に残ったものなのです。こういった汚れが付いてしまうと、ブラシでこすっても簡単には取ることができません。
・外壁が浮いたり、はがれたりする
劣化が進むと外壁が浮いてきたり、はがれたりします。こうなると外壁の防水性は全くなくなるので、すぐにでも補修をしなければなりません。
モルタル外壁のメンテナンスと寿命
「家を建ててから何年も経過しているけど、モルタル外壁はまだ大丈夫なのか?」と不安に感じている人もいることでしょう。ここでは、モルタル外壁のメンテナンスのしかたと、寿命について説明をしていきたいと思います。あなたの家の外壁はまだ大丈夫なのか、チェックしてみてくださいね。
症状別メンテナンス方法
・ヘアークラックや構造クラックによるひび割れ
モルタル外壁ではかならずといっていいほど、経年劣化によって「ひび割れ」が起こります。ひび割れは、大きさによって2種類に分けられます。
幅が0.3ミリ以下で、深さが4ミリ以下のひび割れはヘアークラックと呼ばれます。このひび割れ自体は、メンテナンスの緊急性は低いものといえます。
幅が0.3ミリ以上で、深さが4ミリ以上のひび割れを構造クラックといいます。これは、雨水が内部に浸入して、建物内部に腐食などを引き起こす原因となるので補修が必要です。
大きなひび割れがある場合は、業者に修理の依頼をしてください。ここでは、小さなひび割れの補修のしかたについて紹介します。
【ヘアークラックの補修方法】
- ひび割れた部分をV字にカットする。
- プライマーと呼ばれる下塗り材を塗布する。
- 隙間をコーキング材で埋める。
・チョーキング
チョーキングは多くの場合、塗装から10年前後で発生します。チョーキングが起きたら、塗り替えが必要な時期がきた証拠になります。外壁がチョーキングを起こしたら、業者に塗り替えを依頼しましょう。
・浮き・はがれ
外壁が浮いてきたり、はがれてきたりした場合は、外壁が劣化して寿命を迎えた証拠になります。防水性もなくなるので、見かけたら業者に相談をしてください。
・壁の変色・退色
モルタル外壁は年数が経過すると、経年劣化を起こして変色します。これは、日光の紫外線によるものです。
外壁が退色し、内部に水が浸入して表面がボコボコしている建物を見かけませんか?経年劣化したモルタル外壁は、塗料が落ちることで防水性も損なわれます。このような現象が起きたら、業者に塗り替えの依頼をしましょう。
・カビ・藻
あまり日光の当たらない外壁には、カビが生えることがあります。カビは少しの水分で繁殖する厄介なものです。特にモルタル外壁は表面がボコボコしている壁なので、その段差にたまった水分からカビが繁殖しやすいのです。
カビや藻が付いた場合は、こまめに外壁を掃除することをおすすめします。また、カビや藻を予防するために、ものを置かないようにして外壁の前の風通しをよくするなどの工夫をしましょう。
寿命と塗りかえ時期
モルタル外壁の寿命は10年前後といわれています。ですが、モルタル外壁は職人の腕によって仕上がりの変わる工法なので、10年もたない場合もあるようです。
チョーキングが起きたタイミングが、塗り替えの時期と覚えておきましょう。また、ひび割れが起きた場合にも塗り替える必要があるので、これらの現象が起きたら外壁の寿命であり、塗り替えの時期といえます。
軽いヘアークラックなら自分で修復できます
補修工事が必要なほどではない、ちょっとしたひび割れが気になっているという人もいるでしょう。小さなひび割れも、放置していればどんどん大きくなって、雨漏りなどの原因になりかねません。ここでは、ひび割れが小さいうちに自分でできる修復のしかたについて説明していきます。
【補修方法】
- 1.補修をする箇所の汚れをほうきなどで落とす。
- 2.コーキング材が別の部分に付かないように、養生をする。
- 3.下地材であるプライマーをひび割れに密着させて、乾燥させる。
- 4.3の上から、コーキング材を隙間がないように埋めていく。
- 5.ヘラでコーキング材をひび割れに押し込むようにならす。
外壁補修はプロじゃないと難しい
前章では、軽いひび割れの補修について説明をしました。しかし、見た目は小さなひび割れでも、奥のほうまでひびが入っているかもしれません。
その場合、補修が十分でない場所から水が浸入し、外壁の破損がさらに大きくなるおそれもあります。ひび割れを見かけたら自分で修理をする前に、外壁補修のプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?
業者への依頼がおすすめです
小さなひび割れならDIYでも補修できます。しかし、自分だけでおこなった補修では、数年後にまた補修が必要になることも多いです。そうなれば、逆に費用が高くついてしまうことも考えられます。
また、経験のない素人による塗装では、塗料ムラができて見た目が汚くなる可能性もあるでしょう。補修箇所によっては、足場を組まないといけないこともあります。
小さなものでもひび割れを見つけたら、自分で補修するよりもプロの業者に依頼することをおすすめします。業者に依頼をすれば、たしかな経験と知識をいかして、きれいに補修をおこなってもらえますよ。
業者へ依頼するとかかる費用相場
業者に補修を依頼した場合の費用がどれほどかわからず、依頼をためらっているという人もいることでしょう。そのような人のために、相場をご紹介いたします。
ひび割れ補修 | 1万円~10万円 |
コーキングの修理 | 20~50万円 |
高圧洗浄 | 2~5万円 |
塗装工事 | 80~150万円 |
重ね張り | 150万円以上 |
あなたの家のモルタル外壁をチェック!
モルタル外壁の寿命や故障について説明をしてきましたが、ここであなたの家のモルタル外壁が寿命ではないか気になりますよね。ここでは、外壁のチェック項目について説明をしていきます。あなたの家のモルタル外壁が大丈夫なのかチェックをしてみてください。
1. 壁の表面に汚れやコケなどがついている
壁の表面にカビや藻が生えていませんか?カビや藻などが付着するということは、汚れが付きやすく湿っている空間ということになります。カビ・コケ・藻をそのままにしておくと、洗っても落ちにくくなる可能性があります。見かけたら、すぐに掃除して落としましょう。
2. ひび割れている
モルタル外壁は、経年劣化や日光による腐食でひび割れを起こしやすい外壁です。ひび割れの幅が0.3ミリ以上の場合は、雨水が外壁内部に浸入して建物自体を腐食させる原因にもなります。
3. 外壁の色があせている、もしくは触ると白い粉が手につく
色あせは、モルタル外壁の表面にある塗膜が劣化してきた証拠です。また、チョーキングも塗装が劣化している証拠になります。これらの現象を見かけたら、業者に塗装を依頼しましょう。
4. 外壁がボコボコとしてきている
ひび割れから水が浸入して、外壁が膨らむ現象です。この現象をそのままにしておくと、壁全体に広がっていき壁の防水性が失われる可能性が高くなります。この現象を見かけたら、すみやかに業者に補修を依頼してください。
5. 小さかったひび割れが大きくなってきている
モルタル外壁で特に気をつけないといけないのが、ひび割れの進行をチェックすることです。モルタル外壁は、一度ひび割れを起こすとどんどん進行していきます。ひび割れが大きくなると、外壁補修が必要になります。ひび割れは注意して観察しましょう。
最近ではサイディング外壁も人気です
昨今、注目されているのが「サイディング外壁」です。サイディングとは、平たくて長い板状の外壁材を重ねて外壁に張り合わせる工法です。北欧の木造建築を参考にしたもので、家の外観をスタイリッシュに飾ってくれます。デザインにもバリエーションが豊富なので、家に個性を出したいという人にぴったりでしょう。
このコラムではモルタル外壁について紹介してきましたが、サイディング外壁をふくめ、外壁の工法にはさまざまなものがあります。モルタル外壁から別の外壁へリフォームしたい人、新築の外壁に悩んでいる人は、外壁塗装業者に相談してみましょう。
外壁塗装プランナーは、あなたの希望をかなえてくれる業者を見つけるお手伝いをいたします。現在住んでいる家の、外壁のメンテナンスについて詳しく知りたいという人も、ぜひご相談ください。
まとめ
モルタル外壁は、ひと昔前に流行した外壁ですが、塗り方で個性を出すことのできる素敵な外壁です。職人の腕によって出来栄えが変わる、とても味のある外壁といえるでしょう。
ですが、モルタル外壁は劣化によってひび割れを起こしやすいので、数年~数十年に一度は塗り替えが必要となります。軽いひび割れなどのメンテナンスは自分でもおこなえますが、外壁補修のプロに依頼したほうがたしかな仕上がりになるでしょう。
また最近では、モルタル外壁以外にもさまざまな外壁があります。なかでも注目されているのが、北欧風のオシャレな仕上がりが人気の「サイディング外壁」です。外壁をリフォームしたいとお考えの人も、まずは相談してみてはいかがでしょうか。