屋根や外壁を塗装するときには、使用する塗料について基礎知識をしっかり持っておきましょう。塗装に使われる塗料にはそれぞれ特徴があり、メリットやデメリットがあるからです。それらをふまえた上で、目的に合った塗料を選ぶことが大切です。
ここでは、ウレタン塗装の特徴やメリットデメリットについて紹介します。また、塗料選びの参考になるように「シリコン塗料」「ラジカル塗料」「フッ素塗料」についての情報も掲載していますので参考にしてください。
ウレタン塗料とは
ウレタン塗装とは、ウレタン塗料を使って屋根や外壁を塗装することです。ウレタン塗料は、便利で使いやすいという理由で長く塗装に使われている定番の塗料です。新しい塗料が開発されている近年でも「やっぱりウレタン塗料がいい!」という方も多く、根強い人気があります。
ここでは、そんなウレタン塗装の特徴を詳しく解説しますので塗料選びの参考にしてください。
ウレタン塗装のメリット
ウレタン塗装は、主成分が樹脂(ウレタン)の塗料を使用します。樹脂(ウレタン)が使われる製品には、合成ゴム・断熱材などがあります。ウレタン塗料の具体的なメリットは、次の3つです。
(1)密着性に優れている
ウレタン塗料は塗膜(塗装した表面)が柔らかいので、塗装した素材の形が経年変化していっても、それに対応することができます。樹脂が柔らかいので屋根や外壁などの表面にしっかり密着し、ひび割れを防ぐ効果があります。
(2)乾くのが早い
ウレタン塗料は乾くのが早いので、作業効率がよいというメリットがあります。小さな場所の補修や、ほかの下地塗料との組み合わせをするときに、乾くまで待つ時間を省くことができます。
(3)色や種類が豊富
ウレタン塗料は長い間多くのメーカーで生産されてきたため、色や種類が豊富です。塗る場所に応じて、多種多様な塗料の中から選択することができるというメリットがあります。色だけでなく、耐水性や耐薬品性などの機能面から選ぶこともできます。
ウレタン塗料のデメリット
ウレタン塗料には長年親しまれてきたなりのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。どちらもふまえた上で、塗料を選択しましょう。ウレタン塗料のデメリットは以下の3つです。
(1)耐久性が心配
ウレタン塗料の耐用年数は、6~10年が目安です。最近では10年以上の耐久性がある塗料が販売されるようになりましたので、比較すると短いと感じてしまうでしょう。また、塗膜は紫外線などの影響を受けやすく、劣化すると黄色く変色することがあります。
(2)汚れやすい
ウレタン塗料は柔軟性があるので密着性が高いという長所があります。しかし、一方で汚れがつきやすいという短所もあります。塗膜に汚れが付着したまま放置すると、老朽化したような印象を与えてしまうかもしれません。
(3)湿度に弱い
ウレタン塗料は水分に反応しやすく、水分が付着すると塗膜性能が落ちてしまいます。塗料が薄まったり雨水が入り込んだりすると、塗装後にまだら模様になったり塗装がはがれやすくなったりするおそれがあります。
ウレタン塗料には水性と油性がある
ウレタン塗装には水性と油性があります。ウレタン塗装を使う場合、それぞれの特徴を知った上で選ぶことも重要です。
油性のほうが、水性よりもやや長持ちするといわれています。ただ、油性のウレタン塗料は、塗料を溶かして塗りやすくする目的でシンナーを使用します。作業中や作業後にシンナーの臭いが気になるかもしれません。
一方、水性はやや耐久性が劣るものの、水溶性ですのでシンナーを使用しません。ただし、水性のほうが湿度に弱く、湿気のある日や雨の日に作業すると仕上がりの光沢が不均一になることがあります。
ウレタン塗料は硬化剤の混ぜ方で機能性が決まる
ウレタン塗料の最大の特徴は、硬化剤の混ぜ方によってさまざまな機能を持つ塗料を作り出せるということです。硬化剤には、塗料を固めるスピードをアップさせるもの、塗料に弾力を持たせるものなどさまざまな機能を持ったものがあります。
密着性や弾力性を高めたいときには、弾力性を高めるための硬化剤の分量を増やすと丈夫な塗膜にすることができます。外壁や屋根に傷がつきにくい塗膜を形成する効果があります。
硬化剤という名前からは「固まる速度を速めるための薬剤」という役割だけをイメージされがちですが、種類や使い方は多様化しており、調合のしかたによって、仕上がりや耐久性に大きなちがいが出てきます。
硬化剤は調合比率をしっかり守ることで塗装の耐久性が長くなります。作業を依頼するときには、知識や経験を持った業者に依頼することが大事です。
屋根・外壁塗装に人気の塗料と比べよう!
屋根・外壁の塗装の塗料として、ウレタン系の塗料はポピュラーです。しかし、近年では新しい機能を持った塗料が増え、塗装を検討するときには話題になることもあるでしょう。ここでは、ウレタン塗料以外で覚えておくとよい塗料について解説します。
シェア1位!シリコン塗料の特徴
シリコン塗料とは、主成分がシリコン樹脂でできた塗料のことです。シリコンとは、ケイ素を含む人工化合物で、身近なものではシャンプーや化粧品にも使われています。シリコン塗料の魅力は、汚れが付着しにくく、塗装したての美観が長持ちすることです。
出始めの頃は価格が高いのがデメリットでしたが、近年では価格が安くなってきました。品質と価格のバランスがよいという点でシェアナンバーワンとなっています。現在最も多く使われているのはシリコン塗料です。
ただ、シリコン塗料と一口にいってもさまざまなタイプがあって選ぶのがむずかしいです。シリコン塗料にもウレタン塗料と同じように水性と油性があり、それぞれシリコン含有率などによって耐久性や機能がちがってきます。
また、シリコン塗料には特有の性質があります。たとえば、シリコン塗料にはものをはじく性質があり、重ね塗りをすると密着性が悪くなります。そういった特徴をふまえた上で、外壁・屋根の状況に合わせて適切な塗料を選ぶことは重要な仕事なのです。
人気上昇中!ラジカル塗料の特徴
ラジカル塗料とは、外壁などが劣化する原因である「ラジカル」の発生を抑える効果がある塗装です。2015年に発売された比較的新しい塗料で、ウレタン塗装やシリコン塗装にはない機能があります。
ただ、ラジカル塗料の成分は特に変わったものではなく、シリコンやウレタン、アクリルといった従来の塗料に含まれているものをうまく調合しているにすぎません。特に新素材というわけではないので、新しい塗料でありながら価格は安価であるのが特徴です。
ラジカル塗装は汚れが付きにくく、劣化しにくい上に伸びがよくて飛散しにくいので、作業しやすいことやコストパフォーマンスがよいなどのメリットがあります。ただ、今のところ実績が少なく、あまり知られていないという点はデメリットといえるかもしれません。
また、劣化因子であるラジカルは白い顔料の中に発生するものです。外壁が暗い色で塗装されている場合には、もともとラジカルが発生しにくいので、ラジカル塗料を使用するメリットが少ないでしょう。
耐久性が高い!フッ素塗料の特徴
フッ素塗料とは、主成分である合成樹脂にフッ素が含まれている塗料です。他の塗料と比べて耐久性、耐熱性、防水性などあらゆる機能において優れた塗料です。フッ素塗料はビルや商業施設など大きな建物でよく使用される塗料です。
もちろん一般の住宅でも使用することは可能です。しかし、他の塗料と比べて価格が高額になるため、使われることが少ないのが現状です。フッ素塗料は「高額であるが高機能である」という特徴をふまえて、劣化が進みやすい屋根など部分的に使用するのがおすすめです。
ウレタン塗装が向いているのはこんなケース!
屋根・外壁の塗装に使う塗料にはそれぞれメリットやデメリットがあり、完璧な塗料が存在するわけではありません。ここでは、ウレタン塗装がおすすめなケースについて紹介しますので参考にしてください。
【1】費用を安く抑えたい場合
今すぐ塗装をしなくてはいけない状況で予算が限られているという場合には、比較的安価なウレタン塗料を使って塗装をするのがおすすめです。安価なウレタン塗料の中でも、比較的耐久性の高いタイプを選んでおけば、塗装の効果は十分に得られます。
【2】高級感を出したい場合
ウレタン塗装は、美しいツヤを出すことができる塗料です。外壁塗装に使用すると塗膜に光沢があり、高級感のある仕上がりとなります。マットな仕上がりを好む方には、ツヤ消し仕上げをすることもできます。
【3】耐用年数にこだわらない場合
ウレタン塗装の耐用年数は6~10年が目安ですが、その程度の耐用年数で構わないという場合にはウレタン塗装がおすすめです。近々引越し予定や建て替えなどの予定がある場合には、とりあえず安価で効果のある塗料で塗装するというのも賢い選択でしょう。
【4】雨どいなどの細部をDIYしたい場合
ウレタン塗装は、室内のフローリングや家具にも塗装できるほど汎用性の高い塗料です。屋根や外壁だけでなく雨どいや軒下など、さまざまな場所をウレタン塗装してコーティングしておくことができます。家の細部をDIYしたい場合にはおすすめの塗料です。
ウレタン塗装の費用相場
ウレタン塗装にかかる費用は、1㎡あたり約1,200円~1,500円が相場となっています。この単価に平米数(広さ)をかけあわせて算出してください。この費用のほかに、施工代金や足場代、養生代などがかかります。
塗装にかかる正確な費用総額を知りたい場合には、業者に現地調査をお願いし、見積りを出してもらいましょう。業者選びにお困りの際には、弊社の業者紹介サービスをご利用ください。
まとめ
塗料にはそれぞれメリットやデメリットがあり、「これが完璧な塗料だ!」といえるものはありません。それぞれの特徴をふまえた上で、どの塗料を使うのが適切なのかを選択していきましょう。
ウレタン塗装の場合は長年親しまれてきた塗料ではありますが、現在ではシリコン塗料をはじめとするほかの塗料を使うことのほうが多くなりました。しかし、価格の安さや汎用性の高さなど、使い道によってはメリットがあります。
外壁や屋根の塗装に関するお悩みがある場合は、業者に相談してみてはいかがでしょうか。弊社では、外壁塗装でお困りの方へご要望に応じて、施工業者を紹介しております。
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